呼吸器疾患

 ★ペットに鼻水・咳・くしゃみ、呼吸困難が見られたら…

秋も深まってきて気温が下がり空気も乾燥してくると、やはり呼吸器疾患が増えて来るようです。

ペットに鼻水や咳・くしゃみがみられたら、人間と同じように風邪やインフルエンザが考えられます。細菌・ウィルスによる上部気道感染症から始まり、全身に発熱などの症状が出た状態がそれです。
特に猫や子犬では、一般的なウィルスによるものはやはりワクチンで予防するのが得策でしょう。犬には犬・猫には猫のウィルスが感染します、症状の出ている犬や猫には近寄らせない、室内を寒冷・乾燥から守る、ペットに体力をつけさせるなどがお家でできる対処法でしょう。しかし症状がひどい時には早めに動物病院を受診された方が良いでしょう。風邪といっても馬鹿にはできません、ひどくなると肺炎を起こして命に関わる場合もあるのですから。

 

 

 ★風邪やその他の呼吸器症状で来院する際の料金の目安

元気・食欲があり、咳・くしゃみや鼻炎・結膜炎など上部気道感染症のみのとき
診察料 ¥1,000 (初診の場合はカルテ登録料¥1,000)
処方薬のみ処方 ¥3,000~ (1週間分以内)
点眼液その他外用薬 ¥1,000〜

発熱があったり食欲が落ちていて注射処置が必要なとき
診察料 ¥1,000
注射処置 ¥3,500〜4,500
処方薬 ¥3,000〜

咳がひどく肺炎や心疾患などの他の疾患が疑われるようなときんは、必要に応じて各種検査が必要になります。
血液検査 一般 ¥3,000
     生化学検査 ¥4,000〜(8項目~) 
レントゲン検査 ¥7,000〜(胸部2ショット)
その他 オプションで外注検査あり

症状が重篤で酸素吸入など濃厚治療・入院治療が必要な場合は別途料金になります。もちろん相談のうえです。

 

 ★さまざまな呼吸器疾患の症例

《症例1》誤嚥性肺炎

咳や呼吸困難など重篤な症状を示している場合は肺炎が考えられます。肺炎の原因には色々ありますが、細菌・ウィルス・真菌などによる感染症や風邪やインフルエンザが悪化して肺炎になることも多く、元気・食欲がなくなり発熱・嘔気もみられひどい咳・呼吸困難を起こし命に関わることもあります。左のレントゲンは誤嚥性肺炎を起こした小型犬の一例です。
歯石が溜まり汚染された唾液を誤嚥したため重篤な肺炎を起こしてしまいました。抗生物質を使い、酸素吸入・ケージレストで絶対安静に保ったところ一命をとりとめました。

    

 

《症例2》弁膜症起因の肺水腫

中高年の小型犬。心雑音と高度ANP値を示し、投薬治療するも、増悪化し肺水腫を起こしました。その後弁膜置換手術を受け、現在投薬なしに安定しています。

   

 

《症例3》外傷性乳び胸

左のレントゲン写真は、交通事故による胸部打撃でリンパ管が破裂して乳糜(リンパ液)が胸部に溜まり呼吸困難を起こした一例です。胸部にカテーテルを留置して乳糜(胸水)を吸引して呼吸を助ける処置をしましたが、残念ながら乳糜の滲出を抑えきれず徐々に衰弱して亡くなってしまいました。このように外傷による胸水で肺を圧迫して呼吸困難を起こす場合もあります。

   

 

《症例4》気胸と肺虚脱

慢性の発咳のあった高齢猫が突然呼吸困難を起こし来院。レントゲン像で気胸と虚脱した肺葉を認めた。ドレーン留置して抜気を繰り返すも安定せず死亡しました。

   

 

《症例5》縦郭洞リンパ腫

左のレントゲン写真は、若い猫が突然努力呼吸を始めたと来院されたものです。前胸部(心臓の手前)に輪郭の不明瞭なmassがみられます。利尿剤・消炎剤・抗生物質で反応せず、ステロイドを使用して顕著に改善が見られたものです。治療の結果からリンパ腫を疑いました。漸次ステロイド量を減らし現在中止して一年が経過しています。

   

 

《症例6》鼻腔腫瘍

慢性的くしゃみが続いていて治療に反応しなかったペット。やがて拡大した鼻腔粘膜が鼻孔から見え始めた。放射線治療で一時寛解するも再発。予後は不良であった。