2023/10/14
『シンシア動物病院』の裏には大岡川があり、その遊歩道には多くの地域猫がいます。その土地柄、子ねこを保護して飼い始めるという方も多いです。そんな拾われた子ねこが幸せに育っていく様子をみていくのは動物病院にとって何よりも嬉しい事です。当院自身も何度となく子ねこを拾って育て、里親に斡旋したりしてまいりました。また、『どうぶつ基金』に協賛し、のら猫の避妊・去勢事業に参加しています。不幸な猫を増やさない、一匹でも幸福になるチャンスを…というのが願いです。
シンシア動物病院は上大岡より徒歩10分、バス通りの鎌倉街道沿いにあり港南区・南区からでも非常にアクセスしやすいです。猫を愛する獣医師がお待ちしております。
《初めて子ねこを飼われた方のために》
春や秋は猫の繁殖も活発になり、子猫を保護する機会も出てきます。
子猫を拾ってしまったら、まずその年齢(生後週令・月令)により確認してみましょう。
まだへその緒が着いているようなら生後数日~1週令でしょうし、目が明くのは生後10日~2週間です。生後4週間ほどで乳歯が生え始めるので、離乳を始める頃でしょう。
健康チェックをしましょう。カラスなのどに襲われている場合もあります、怪我などはしていませんか?栄養状態はいかがですか?ノミ・シラミなどの寄生虫はいませんか?猫風邪をひいて目やにや咳・くしゃみはありませんか?何か異常があれはすぐ動物病院へご相談下さい。
まだ歯が生えていない様なら猫用ミルクをスポイトなどで与えてみて下さい。歯が生えているようならミルクを混ぜた離乳食を与えてみて下さい。
飼われるにしても里親を探すにしても、動物病院やペットショップ・動物愛護団体などに相談してアドバイスを仰ぐのが宜しいでしょう。
子ねこを拾って育てるというのは本当にすてきな事です、きっと飼主さんにも幸せな日々が訪れるでしょう。もしも育ててみたいなというお気持ちがあったなら、どうかチャレンジしてみて下さい。シンシア動物病院はそんな方にできる限りのお手伝いをしたいと思っています。
《 初めて子猫を連れて来院した際の初期費用の目安 税込 》
●初診・カルテ登録 ¥2,200
●一般身体検査 体重・体温・栄養状態と皮膚病のチェック
天然孔(眼鼻の風邪症状の有無、肛門や耳道の汚れなど) ¥0-
●10分程度の健康・飼育相談 ¥0-
●検便 ¥550〜1,100
以下必要に応じて
●寄生虫駆虫 ¥1,650前後 (1~2回推奨)
●3種混合ワクチン ¥5,500(子猫のうちは2回、以後年1回推奨)
●ウィルス抗体価検査(FIV・FeLV・FIP) ¥8,800
その他、治療は別途料金になります。
《高齢の猫に多い疾患》
①腎臓病
シニアの猫に多い病気といったらまず腎臓疾患でしょう。もともと猫は水の摂取量が少なく腎臓に負担が掛かりやすいと考えられていました。また、近年の研究では猫にはほかの動物よりあるたんぱく質が不足しているため急性腎疾患から回復しにくく、それが慢性腎不全へ移行していく事がわかってきました。腎臓の何と7~8割の機能が失われなければ臨床症状に現れないといわれています。静かに病気が進行し、症状がでた時には末期になっている事が多いのです。少なくとも4~5才頃から血液検査を定期的に行い、早期発見早期治療が長寿の秘訣になります。
多飲多尿、嘔吐・下痢、体重減少、貧血などが見られたら一刻も早く動物病院に受診しましょう。
②糖尿病
ペットも長生きするようになると人と同じ様な生活習慣病が現れてきます。高齢のペットに時にみられるのが糖尿病です。特にずっと太っていた猫が急に痩せてきたら要注意です。糖尿病とはご存知の通り膵臓で作られるインスリンが不足したりうまく作用しないことにより、血中の糖が細胞に取り込まれず様々な不調を引き起こします。これも血液検査で診断され、主にインシュリンの接種でコントロールしていきます。
③心臓病
特に猫にみられるのが心筋症でしょう。原因不明の心筋の劣化により心臓が拡張しうまく血液を排出できなくなります。当然体全体に血液が廻れず全身症状(特に肺)を起こしたり、血栓が足の細い血管につまり麻痺を起こしたりする重篤な結果を起こします。
④甲状腺機能亢進症
甲状腺から出るホルモンが過剰に分泌され全身症状を起こします。代謝が活発になるので見た目には元気そうに見えますが、実は全身の消耗が激しく心臓にも負担が掛かり、また痩せてきて気性が荒くなったりします。ホルモン分泌を抑えるお薬で緩和してあげる必要があります。
⑤泌尿器疾患(膀胱炎、尿路閉塞症)
中高年の猫に多くなります。膀胱や尿道に炎症を起こし、頻尿・血尿、しぶり等が見られます。特にオス猫では細い尿道が炎症や尿結石で閉塞し、排尿ができず尿毒症を起こすなど緊急事態になることもあります。尿が詰まってしまったらまず外科的に排尿処置をとり、慢性化した場合はオスの細い尿道を広げる形成手術が必要になったります。普段からトイレを清潔に保ち猫に気持ちよく排尿させるようにし、普段の排尿状態を把握していて異常が見られたらすぐ受診しましょう。泌尿器疾患予防の処方食は必須アイテムです。
⑥呼吸器疾患
ゼイゼイと音を立てて努力呼吸をする、猫の喘息は中年以降にたまにみられます。アレルギーが関与しているといわれていますが、不明な点が多いです。また、漿液や膿が溜まる胸水や肺水腫・肺気腫、リンパ腫や肺ガンなど、慢性の肺疾患が高齢期に重篤な症状を引き起こすこともままあります。普段から猫の呼吸状態を把握しておきたいものですね。
《猫の感染症》
①猫エイズ
猫免疫不全ウィルス(FIV)感染により発症します。主に感染猫との交尾・ケンカによる受傷が原因となるので野良猫ちゃん出身の子が要注意です。人のエイズと同様免疫不全になり抵抗力が落ちてしまい、症状は風邪の様な症状で様々です。残念ながらエイズの特効薬はありませんが、保存治療で普通の子と同じように長生きする事もできます。まずは血液検査をしましょう。
②猫白血病
猫白血病ウィルスは猫エイズとは別のウィルスですが、ほぼ同じような感染の仕方や同じような病態を取ります。
③猫伝染性腹膜炎(FIP)
世間が新型コロナウィルス感染症を知る前から、コロナウィルスは猫にとって非常に恐れられてきました。コロナウィルス(FcoV)というごく一般的なウィルスが感染して、極々稀に突然変異して病原性を発揮します。普通は猫の抵抗力によってウィルスを抑え込むのですが、極稀に発症して胸水や腹水、その他の重篤な症状を引き起こします。一旦症状が出てしまうと大変致死率の高い恐ろしい病気です。これは野良猫さん出身よりもブリーダ出身さんなどの密飼いの状況で出ることが多いように思われます。
残念ながら有効な治療法はなく、できる限り猫にストレスを与えず平穏な生活を送らせてあげるよりありません。もちろん感染した猫は隔離して飼う事が必要です。何か不定期な症状が続く時は血液検査(抗体価検査や蛋白分画など)をして万一に備えましょう。
④トキソプラズマ症
トキソプラズマという寄生虫の感染による病気で、人にも感染する人畜共通伝染病です。感染していない妊婦さんが初めて犬猫から感染すると問題になりますが、以前から飼育しているペットなら心配はありません。必要以上に濃厚接触は避け糞便処理などは適切にし、冷静な対応を取りましょう。
⑤猫フィラリア症
犬だけと思われていたフィラリアは実は猫にも感染するのです。本来の寄生主ではない猫では、フィラリアは犬の場合の様な生活環を示さず子虫を血液中に生むこともありません、主に肺に親虫が寄生して肺炎症状を起こします。秋口に猫が咳をしていたら要注意です、血液検査の抗体価やレントゲン検査で診断します。犬と同じように月一回の予防薬で予防できますので、転ばぬ先の杖…予防を考えてあげてください。
⑥ノミ・ダニ
最後にノミ・ダニの寄生によるトラブルのお話です。ノミは皮膚病やサナダ虫感染の原因になります。また話題の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、ウィルスを保有しているマダニから感染します。発熱・神経症状・出血などの全身症状を起こし、西日本を中心に死に至ることもあると恐れられている人畜共通感染症です。また日本紅斑熱やライム病もマダニからうつります。特に夏場は予防・駆虫薬でぜひ対処してあげましょう。