大騒ぎの日

その子は衰弱しているところを保護された成猫さんでした。治療してお家でケアされて今ではすっかり栄養状態の良い体格になりました。そこで去勢手術に来院されたのです。

元気になった今ではお家でケージに入れるのも一苦労、病院に来てもシャーシャー威嚇していました。そこでケージから大き目のネットに入れて処置をするつもりでした。ケージの入り口から勢いよくネットに飛び込んだはいいのですが、そのまま台の上から滑り落ち、なんと重みで網目の一部が裂けてその穴から飛び出してしまいました。その勢いで彼は室内の置物をなぎ倒し、部屋の隅から隅をものすごいスピードで逃げ回りました。しばらく悪戦苦闘した末に、ようやくタオルで包み込んで捕獲しました。使用した後何度も消毒液につけていたので、ネットの紐が劣化して破けてしまったのでした。本当に何年振りかの痛恨の失大態！猫くん恐がらせてごめん！

その後ケージの扉を開けるたび皆びくびくしていたのですが、翌日昨日の騒ぎを知らないVTさんは何事もなく平気で彼を扱っていました。先入観のない無垢な態度は、動物にも気を抜けさせるようです。私たちは口を開けてぽかんと見ていました。