乳び胸で呼吸困難を起こした高齢猫さん。

不穏な天気が続いています。昨日はかなりの雨が降りましたが、今日は心配されたほどの急な雨はありませんでした。しかし、晴れた分気温も高くなりました、皆さまどうぞ熱中症には十分お気を付けください。

今日の救急患者さんは、呼吸困難を起こした高齢猫さんでした。舌の色も悪く酸欠状態です、レントゲンでは胸水貯留?または膿胸の疑いがありました。様子を見ている猶予がなかったので、急遽穿刺して貯留液を抜いてみると乳白色・やや粘調の胸水が100ml近く得られました。いやな兆候です乳び胸では苦い経験しかありません。おまけに留置したカテーテルからは胸水と共に貯留した空気も抜けてきます。胸腺やリンパ管の損傷と共に肺も損傷しているかもしれません。

 

         

 

乳び胸とは、胸腔内に乳び(リンパ液)が貯留する状態です。外傷や胸腺腫・リンパ腫その他さまざまな原因でリンパ管が破裂してリンパ液が漏れ出てしまうのです。胸腔に溜まった液は肺を圧迫して、呼吸困難を起こします。しかし損傷部位が修復されなければ、抜いても抜いても胸水は溜まってきてやがて全身が衰弱してしまいます。外科手術で損傷部位を修復できれば良いのですが、かなりの技術が必要な事と、外傷が原因でもなければその部分が特定できる保証はありません。

一連の処置を終了して再度レントゲンを撮ってみると、いくらか肺が見え始めた胸部に今度は腫瘤が認められました。術後も留置したカテーテルから何度も空気と胸水が取れます。こうして呼吸を助けながら、自然に損傷部位が修復してリンパ液や空気が漏れるのを待つしかありません。夕方面会に来られましたが、今夜乗り越えられるかどうかが第一関門です。お願いどうか頑張って。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
シンシア動物病院
>http://www.sincere-ah.com/

住所:〒233-0008 神奈川県横浜市
港南区最戸1丁目2−3
TEL:045-714-1560
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇