ほんの一瞬の隙から起こる事故 トリミング中の骨折

事故や災難はほんの一瞬の隙をついて起こります。

先日の急患は、近所のペットサロンのトリマーさんがお客さんの愛犬を連れて来院しました。トリミング中に台の上からペットが落下して前足を怪我してしまったとの事。その犬を見て、スタッフはすぐシンシアに掛っているペットと気づきました。レントゲンを撮るまでもなく骨折しているのが分かります。関節ではない部分で前足が曲がって動くたびに犬が悲鳴を上げます。飼主さんに連絡を取り、鎮静化でレントゲン撮影をしました。右前腕下位1/3のところで橈尺骨が折れていました。整復してギプスを装着し、後日手術することになりました。

痛がっているペットは本当に可哀そうで、一番の被害者であることは間違いありません。愛犬の苦しむ姿を見ている飼主さんもお気の毒でなりません。それでも、顔面蒼白で泣きはらして「すみません」を繰り返しているトリマーさんの姿を見ると、誰もが彼女を責める気にはなれないようでした。トリミング台から離れたわけでもペットから手を離したわけでもなく、一瞬気がよそに向き焦点を逸らした瞬間に反対側から落下してしまったとの事。もちろんあってはならない事です。が、誰にでも起こりうる事故でもあります。反省して心の中でペットに充分お詫びをしたら、元気を取り戻してトリミングのお仕事を続けてほしいなと、ひっそり思っています。そしてうちの獣医師もスタッフも、気を引き締めて安全にペットを取り扱うよう、己を戒めています。

無事に手術も終わり、そのペットと飼主さんは退院の日を心待ちにしています。