猫のトリミング

猫のトリミングはとても難しいものがあります。猫はグルーミングもするし水を嫌うことから、一般的にシャンプーやトリミングを好みません。何よりも猫の皮膚は軟らかく伸びるので、特に毛玉などがある場合はカットにとても注意と技術が必要になります。

ベテランのトリマーさんでさえ、時として皮膚を傷つけしまうことがあります。そのような時は、飼主さんに正直に報告し必要な処置をします。ペットに謝りながら、傷を消毒したり場合によっては縫合したりすることになります。

プロでない飼主さんは、自分のペットをトリミングしたりする際にこんな事故を起こす確率は高くなります。ペットを傷つけてしまった時、あわてて動物病院に駆け込み治療を受けます。そんな時は「よくあることですよ」と申し上げるのですが、飼主さんは恐れおののいてお家でのトリミングを断念することになります。

昨日も「やっちゃいました~」と猫を連れて飼主さんが来院されました。毛玉があるのではさみでカットしていたら、皮膚をざっくり切ってしまったようです。皮膚に弾力がないので傷口は広がり、4×3cmほどもある大穴が開いていました。病院でさえもちょっとびっくりしてしまいました。この場合は縫合するしかなく、鎮静をかけて傷を洗浄して縫合することにしました。少々高齢なので鎮静も心配したのですが、処置は無事に終わりました。今朝になってしっかり目の覚めた猫ちゃんは《激おこ》なので、早々にお家に帰ってもらうことになりました。長めに日ちにを置いて抜糸することになります。

一方、昔 皮膚無力症 という状態の猫ちゃんがいました。体質というか遺伝というか、ちょっとしたきっかけで表皮が皮下織からずる剥け状態になってしまうのです。皮膚が金具に引っかかったとか同居猫にひっかかれたとか、で皮膚が容易に裂けてしまうのです。本人に痛みや苦痛はない少ないようでしたが、飼主さんや同居のペットは大変です。本人は自咬しないよう半永久的にエリザベスカラーを装着し、ケンカしないように同居猫は爪取り手術をされるなどの対策が取られました。何度縫合処置をしたかわかりません。

こんな病気もあるのです、猫ちゃんと言う動物は奥が深いです…。